大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(行コ)59号 判決

一、当事者

神奈川県足柄上郡南足柄町狩野八四五番地

控訴人

奥津八郎

右訴訟代理人弁護士

松目明正

右訴訟復代理人弁護士

山分栄

小田原市幸一ノ一〇七

被控訴人

小田原税務署長

小春登一

右指定代理人

中川精二

菊地衛

外二名

二、主文

1. 本件控訴を棄却する。

2. 控訴費用は控訴人の負担とする。

三、事実及び争点

1. 控訴人は原判決中、控訴人敗訴の部分を取り消し、同部分に相当する被控訴人の決定または更正決定を取り消し、第一及び第二審の訴訟費用を被控訴人の負担とする旨の判決を求め、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。

2. 当事者双方の事実上、法律上の主張及び提出、援用、認否した証拠の関係並びに第一審で求めた裁判は、次に訂正、付加するほか原判決書事実欄に記載の内容と同一であるからこれを引用する。

(1) 原判決書六枚目表四行目に「金二万二、〇〇〇円」とあるのを「金二万七、〇〇〇円」と、同九枚目裏一〇行目及び一一行目に各「2,25,000」とあるのをいずれも「2,250,000」と訂正し、

同別紙一のうち、一、(二)昭和三三年分(二二枚目裏)項目「更正」における算出税額「一二七、五〇〇」を「一二二、五〇〇」と訂正し、

同二のうち(二)昭和三三年分(二四枚目裏)「事業所得」を「農業所得」と訂正し、

同(三)昭和三四年分(二五枚目裏、二六枚目表)予備的主張上欄の雑所得「一、四八七、〇八二」を「一、〇七六、六六六」と、総所得金額「一、六七二、四八九」を「一、二六二、〇七三」と、課税総所得額「一、五七六、九〇〇」を「一、一六六、五五五」と、差引所得税額「三八二、四一〇」を「二五五、四五〇」と、「八、九〇〇」を「一二、五〇〇」とそれぞれ訂正する。

(2) 控訴人は、被控訴人主張の昭和三二年度分控訴人所得額のうち、農業所得の額を七一、〇四〇円の限度で認め、同昭和三三年ないし昭和三五年度分の同人所得額のうち、農業所得額及び不動産所得額を認める旨を明かにし、控訴人が昭和三一年九月一八日現在で被控訴人主張の二二五万円の債権を有していたことを認めるが、その主張の宅地五〇坪九勺を控訴人において取得したのが被控訴人主張の代物弁済によるものであることを否認した。

(3) 被控訴人は、控訴人の昭和三三年度分雑所得額を従前第一次的に六二二、五〇〇円と主張したかこれを五一八、七五〇円と改め、その計算根拠を

<省略>

<省略>

<1>+<2>=518,750円

とし、

同昭和三四年度分雑所得額を従前第一次的に二四一、一三五円と主張したが、これを二〇六、一三五円と改め、その計算基礎を

<省略>

<省略>

<1>+<2>=206,135円

とするが、以上はいずれも利息制限法所定の限度を超えた遅延損害金の未収分を収入に加算しないことに改めたことによるものであると主張し、なお、昭和三四年度分雑所得額について従前第三次的に七六、六六六円と主張したが、これを一〇〇万円と改め、その根拠を控訴人が訴外奥津ミシン工業株式会社から同年度中に取得した従前主張の宅地五〇坪九勺によつて弁済されたことになる遅延損害金相当額一〇〇万円が同年度の雑所得となるからであると主張した。

(4) 控訴人は甲第一八号証の一ないし三、第一九号証の一、二、第二〇号証の一ないし四、第二一号証の一、二を提出し、当審における証人奥津利男の証言及び控訴人本人尋問の結果を援用し、乙第九号証の一、二及び第一〇号証の成立を認め、

被控訴人は乙第九号証の一、二及び第一〇号証を提出し、当審で控訴人が提出した甲各号証は不知と述べた。

四、理由

1. 控訴人の昭和三二年度から昭和三五年度までの所得税課税について被控訴人または東京国税局長によつて課税決定、更正決定、再調査決定または審査決定がなされたいきさつ、その間の被控訴人主張にかかる控訴人の雑所得査定の基礎となつた訴外奥津ミシン工業株式会社に対する債権の存在、その債権における利息及び遅延利息所得及び昭和三二年度における同原告の農業所得についての当裁判所の判断は原判決のそれと同一であるから、次に付加するほか原判決書理由欄記載の内容を引用する。

すなわち、原審及び当審証人奥津利男の証言並びに当審における控訴人本人尋問の結果中には、被控訴人及び東京国税局長が本件で争点となつている控訴人の利息及び遅延利息収入を認定した基礎資料である乙第五号証の二ないし四は前出訴外会社の代表者奥津利男において同会社の法人税課税を免れるために控訴人に無断で、虚偽の事実を記載し、署名捺印も冒署冒用のうえで被控訴人に提出した資料である旨の供述がある。そして、成立に争いのない甲第七号証並びに当審において控訴人提出の(その真正な成立はしばらく別として)甲第一八号証の一ないし三、第一九号証の一、二、第二〇号証の一ないし四及び第二一号証の一、二等の記載と右乙第五号証の二ないし四の各記載とを対照すると、前者の記載内容が正しいとすれば、後者のそれが誤りであることになり、両者は一致しない。

しかし、(イ)右各書証、成立に争いのない乙第九号証の一、二、右奥津証人の証言及び控訴人本人尋問の結果によれば、同証人と控訴人とは実親子であり、控訴人は本件の課税年度頃すでに七〇歳前後であり、両者は同一家屋に同居している家族であつて、前出訴外会社の経営も、控訴人家の生業及び家計もすべて混同されて訴外奥津利男が主としてこれを切り廻し、右会社及び控訴人家の税務対策、金銭貸借、その収支等についても控訴人が右訴外人にすべてを任かせていて、たまたま本件の課税問題で差押処分等が行われたことで控訴人が驚き、右訴外人の措置の不手際を後から責める程度であつたことがうかがわれること、(ロ)本件紛争の発端となつた前出宅地五〇坪九勺の所有権が前出訴外会社から控訴人に移転した昭和三三年の時点では、同宅地の適正価格は少くとも二三〇万円以上であつて、右各帳簿、記帳類にこれを一三〇万円と評価して控訴人の所有に移した旨記載されているが、同評価は著しく右時価に相違していること、(ハ)控訴人家においても、訴外会社においても、平素、金銭出納等について記帳することはなく、毎年納税申告時に至つて同申告に必要な限度ではほとんど一夜作りの諸帳簿記入をして来ていることなどが認められる。そうすると、右諸帳簿における記載内容をそのまま真実なものとしてこれのみを資料として控訴人の収入を認定し難く、むしろ、客観的な事実として、少くとも一〇〇万円以上安価に評価して前記宅地所有権が債務弁済に代えて控訴人に移転されたことを考えると、右差額の一〇〇万円以上が訴外会社の控訴人に対する利息及び遅延利息に代る対価であつたものであり、訴外奥津利男は控訴人との前記関係でこれを前出各年度に分けて控訴人の利息及び遅延利息収入として精算関係の整理をし、これを前出乙第五号の二ないし四において明かにし、それを控訴人に代つて被控訴人に課税上の資料として提出したものであり、その内容は結局最も正確なものであつて、形式的に存在する前記諸帳簿の記載と相異することはむしろありうることであり、すべてを息子の利男に委せていた控訴人がその内容を正しく知らないことも、また、ありうることである。

このほかに、当審において新に提出、援用されたすべての証拠をも併せ検討してみても、以上の判断を覆すのに足りる資料はえられない。

2. 以上のとおり、控訴人の本訴請求は原判決が認容した限度で正当であるから、その余は失当であり、原判決はもとより相当であるから、本件控訴を棄却することとし、行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条及び第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長判事 畔上英治 判事 上野正秋 判事 兼子徹夫)

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